電磁弁のお話第7話:安全計装システム(SIS)対応電磁弁でも触れましたが、機能安全という考え方はIEC61508によって規格化されています。リスク分析による事故の回避、抑制という安全認識が世界に普及しつつある中で、2010年にはIEC61508第2版が発行され、ハードウェア構成上の制約条件等いくつかの項目で見直しが行われました。
ここでは電磁弁の安全度水準に係る安全側故障割合の算出方法見直しと選択肢2Hの追加について説明します。
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安全側故障割合(SFF)の算出
IEC61508は機能安全に関わる故障を決定論的原因故障(Systematic Failure)とランダムハードウェア故障(Random Hardware Failure)に分類していますが、IEC61508第2版では新たに無影響故障(no effect failure:安全機能の実行に役割を果たすが、安全機能に直接影響を与えない要素の故障)が定義され、安全側故障割合の計算に使用しないことが規格に明記されました。
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第1版(2000年度版)ではコンポーネントの安全側故障割合を算出する際、この無影響故障を λResidualつまり故障率の残余部とみなし、以下のように計算されます。 |
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第2版(2010年度版)に従った場合、上式にてSFFを算出する際に λResidualを含めないため、SFFの判定において公正さが増すことになります。その反面、計算結果は第1版に比べて必然的に小さくなるため、場合によってはハードウェア構成上の制約条件(表2)が厳しくなり、同じ冗長化構成で達成できるSILが下がるという可能性を含んでいます。一方、第2版では新たにSFFの判定を含まない制約条件である選択肢2H(Route2H)が導入されました。第3者機関による認証では、この選択肢が適用されることで改訂前後のSIL判定のギャップが回避されるようです。
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安全側故障割合
SFF |
ハードウェアフォールトトレランス |
0 |
1 |
2 |
<60% |
SIL1 |
SIL2 |
SIL3 |
60%-<90% |
SIL2 |
SIL3 |
SIL4 |
90%-<99% |
SIL3 |
SIL4 |
SIL4 |
≧99% |
SIL3 |
SIL4 |
SIL4 |
表2 ハードウェアフォールトトレランス(選択肢1H)
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| 選択肢2H (Route 2H) |
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IEC61508第2版ではハードウェア構成上の制約条件として新たに選択肢2H(Route 2H)が設けられました。選択肢1H(Route 1H)が安全側故障割合(SFF)とハードウェアフォールトトレランス(HFT)との組合せによるハードウェア構成上の制約条件であるのに対して、選択肢2Hはコンポーネントの信頼性データとHFTとを組合せた制約条件であり、SFFの判定は含まれません。(表3)
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最高安全度水準
SIL |
最小ハードウェアフォールトトレランス
Minimum HFT |
1 |
0 |
2 |
0 |
3 |
1 |
4 |
2 |
表3 ハードウェアフォールトトレランス(選択肢 2H)
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